Mari Matsuno の日記

神戸とパリ在住の画家、松野真理のブログです。

悲しい電話

marimatsuno2008-05-24

24年前、パリのグランドショミエールで突然声をかけてくれた女性がいた。姫路の人だった。
私の顔の大きな写真が神戸新聞の夕刊の第一面に出たことがある。その記事に感動したといって声をかけてくれたのだ。彼女も絵を勉強しに来ていたのだった。それから、年賀状のやり取りと個展で会うだけだった。背が高くて日本人には珍しく大人の女性という感じだった。

去年の個展の前にはがきが来て親戚の人に案内状を送ってほしいと書いてあったように思う。
その人たちは、彼女の代わりに個展にやってきて彼女からの「お祝い」と書いたお金の入った封筒を渡された。そんなことは今までになかったからびっくりした。
その後、なんか気になったので何回か手紙を書いたのだけど返事はなかった。先日からポートアイランドに額をならいに行くことになったのですごく住所が近かったから「どうしてる?」と手紙を出した。

今朝、彼女の夫という人から電話があった。彼女は、結婚してたことを言わなかった。10年位前だそうで年とってからだったから絵を発表する名前もそのままにしてあまり知らせなかったようだ。
50歳での結婚だったらよけい、みんなに言いふらして祝福してもらいたい。60歳でももっと自慢したい。
若いとき婚約したと言いふらしてお祝いもらったのにすぐ分かれてしまったなあ・・・

彼女は、色気があったしきれいだったから男性が、いることは、感じられた。

去年の暮れに亡くなったとその男性は静かに話された。私はびっくりして額を習いに行く前におまいりに行くことにした。
素敵なマンションは、彼女のギャラリーとアトリエだった。夫という方が、丁寧に彼女のことを語って下さった。
彼女の写真と彼女のものばかりが置かれてマンションでつい「どこで暮らされてるのですか」と聞いてしまったけどまだ部屋があるようだった。


彼女は、死にたくないといっていたそうだ。かんしゃくも起こしたらしい。でも彼はそれを受け止めてあげてたのだ。彼女は、かんしゃくを起こせる人がいて死後も見つめてくれる人がいて愛されていたのだ。


すごく悲しい気持ちだけど彼女は、ある意味幸せだったといえるからなんとなくほっとした。
すごく孤独な感じがしたから。

彼女は人が病院に来るのも断っていたらしい。
私が死にそうになったらブログでみんなに書いてくれとふみに言った。「みなさーん、お別れにきて!」って。